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SEOで重要視するべき「流暢性」と「なじみ感」とは


SEOで重要視するべきもの

世の中の流行やヒット商品、話題のサービスを見て、一度も以下のように思ったことのない方はいないのではないでしょうか。

「どうしてAが流行っているんだろうか?」
「Bよりも質の低いCのほうがヒットしているのはどうしてだろう?」
「Dと同じくらい品質の良いEが話題にならないのはなぜだろうか?」

ある商品やサービスが「当たる」かどうかは一種の賭けです。人の好みはそれぞれ異なり、しかも時間と共に移り変わります。好みに影響する要素にしても、国や文化、時代、年齢、性別と、挙げていけばキリがありません。

そうした不透明な世界の中で、どうにかしてビジネスの指針を定められないものでしょうか。何がヒットし、何がヒットしないのかを見極めるためのヒントが、どこかに落ちていないのでしょうか――。

『ヒットの設計図 ポケモンGOからトランプ現象まで』は、そうした疑問に答えを見出すための様々なヒントにあふれる好著といえます。



ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで

1. 「ヒットさせるための方法」はあるのか

本書はアメリカ《アトランティック》誌の編集主任、デレク・トンプソン氏による処女作であり、子守唄から映画、絵画、アプリに至るまで、様々なもののヒット要因と広まり方を分析したものです。《ライブラリージャーナル》誌や《インク》誌の年間ベストブックに選ばれるなど、高い評価を得ています。

ただ、一度でも何かをヒットさせようと試みた方は、「ヒットの設計図」などという怪しげな概念に対し、疑いの眼差しを向けるかも知れません。ヒットになんらかの設計図があり、それに従えばなんでもベストセラーになるというなら、世の中に倒産する会社など存在しないでしょうから。

実際、本書では、万能薬じみた「ヒットさせるための方法」が語られているわけではありません。

しかし、それでもこの書籍は面白く示唆的です。直接的な方法ではないにせよ、ヒットへつなげるための様々なヒントや避けるべき誤りが、豊富なエピソードと共に示されているからです。

本書で押さえておきたいポイントとして、以下のような点が挙げられます。

①ヒットするものには一定の「なじみ感」と「新規性」がある
②ヒットの仕方は「バイラル式」より「ブロードキャスト式」である
③少数の特異集団へのアプローチがヒットの起点となり得る

それぞれ順に見ていくことにしましょう。

2. 近しく新しいものたち

地元から遠く離れた場所を独り歩いていて、ふと見知った顔を目にしたときのような、あるいはたまたま付けていたカーラジオから昔何度も聴いた曲が流れてきたときのような。

こうしたときに覚える安心感や懐かしさを、本書は「なじみ感」という言葉で表します。よく見知ったものは脳が処理しやすく、心地よさをもたらすのです。

同様に、易しく感じられる思考を「流暢性」といい、両者は密接な関係性を有するものと説明されます。なじみ深いものはわかりやすく易しいものに感じられ、親しみを覚えるというのです。

こうした人間の心理的特性からデレク・トンプソンは、ヒットにはなじみ感が欠かせないと述べます。

膨大な情報の行き交う現代において、なじみ感を生み出すには露出が不可欠です。露出とはつまり宣伝広告であり、インターネット上においてはSEO施策でもあります。そもそも人に知られなければ、選ばれることもないのが道理でしょう。

ところが、なじみ感だけがヒットの鍵ではありません。ある種のしつこい広告のように、何度も何度も同じものが視界や耳に入ってきたら、人は次第にそれらを鬱陶しいものと感じるようになります。なじみ感だけを追い求めて過大な露出をしたとしても、かえって逆効果なのです。

そこで、なじみ感に加えて新規性が必要となるわけです。

新規性とは新しさであり、新鮮さです。

もちろん、斬新過ぎる商品やサービスは人びとに理解されにくいため、新規性だけを求めては失敗しかねません。適度ななじみ感と少しの新規性、それらのバランスが肝要といえましょう。

ちょうど、なじみ深い舞台で慣れ親しんだ登場人物たちが新たな冒険に繰り出す、お気に入りの物語シリーズの新作のように。

3. 口コミよりも全国放送

商品やサービスの成功を握るカギがなじみ感と新規性のバランスだとしても、それだけでヒットが約束されるわけではありません。商品・サービスと、その販売チャネルは、たとえるなら車の両輪のようなものです。一方を欠いては成功という目的地に向かえません。

何かが人びとに知られる際の広がり方について、しばしば言われるのが「バイラル」という言葉です。これは元々疫学上の用語であり、病原菌(時節柄この表現はしてはいけないのですが…)が1人から2人へ、2人から4人へと倍々ゲームのように急速に感染してゆくことを指します。これを口コミ的な広がりになぞらえたのが、バイラルに広まるという表現なのです。

ただ、デレク・トンプソンが紹介するところによれば、インターネット上の新しい考え方や記事の広がり方は、バイラルではありません。「ブロードキャスト(放送)」的な拡散なのだといいます。

ブロードキャストとは、あたかも全国放送のように「1つの情報源から多くの人が同時に情報を得ること」です。

インターネット上でいうなら、1人の有名人がSNSなどで紹介した商品やサービスが数千、数万という人びとへ一気に広がるという流れをイメージするとわかりやすいでしょう。

本当に良いものは、誰かに紹介したくなる。――こうした信念をもって、草の根的な口コミ頼りの宣伝戦略を採る企業も少なくありません。

しかし、本書が示すところによれば、有名な芸能人や一流アスリートなどに取り上げてもらったほうが、情報の拡散効果は大きいということになります。

では、効果的な宣伝を望むのであれば、どういった相手にアプローチすればいいのでしょうか。

4. 共通の趣味・嗜好を有する集団を狙え

相手が初対面のとき、話の糸口が見つからないこともあるかと思います。しかし、話すうちに相手が自分と同じようにネコを飼っていることが判明したとしたらどうでしょうか。もちろんイヌでもいいし、セキセイインコでも構いません。

親しみとは、言い換えれば共通点です。ペットに限らず、特定の小説家の作品が好きだとか、スキューバダイビングを頻繁にしているだとか、ビジネスに打ち込むのが生き甲斐だとか、そういった共通点があれば人は親密になりやすいものです。

本書では、人を結びつけるこのような共通点を「ホモフィリー(同質性)」という原理で捉えます。これは「人は周りにいる人びととどこか似ている」という意味です。ホモフィリーのある集団では、情報がシェアされやすいとの指摘があります。

実際、TwitterにせよFacebookにせよ、趣味でつながった友人からの情報は共通の趣味を持つ別の友人に伝えたくなるものでしょう。

デレク・トンプソンは、ファンノベルサイト出身の人気作品やマッチングアプリの立ち上げなどを例に挙げ、ヒットには共通の趣味や嗜好を有する少数集団へのアプローチが重要と述べます。

そうした緊密な結びつきを有する集団内では情報がシェアされやすく、単なる口コミ効果を超えた宣伝効果が期待できるからです。

ブロードキャスト的な広がりと併せて考えるのであれば、少数集団におけるオピニオンリーダーを狙うのがポイントといえるでしょう。

5. ヒットとSEOの分かち難い関係

現代では、インターネット上での宣伝戦略は不可欠といえます。その中で、なじみ感と新規性のある商品やサービスを、同質性の高い少数集団へブロードキャスト的に広げてゆくには、どうすればいいのでしょうか。

少なくとも、その商品やサービスが繰り返し人目に触れ、なじみ感を獲得しなければなりません。

そのためにはSEO施策が重要となります。検索エンジンのコンテンツ選出基準は目まぐるしく変わります。その中で信頼できるものがあるとすれば、「ユーザーの満足度の高いコンテンツが優先的に表示される」という点でしょう。小手先の対策ではなく、情報に接した人が満足することによってこそ上位表示され、より多くの人の目に触れるようになるわけです。

ユーザーの満足度を高めるには、単に関連キーワードをたくさん入れたりダミーサイトによる被リンク先を増やしたりするのではなく、ユーザーの求める情報をユーザーが見やすい形で提供する必要があります。そうすることでインプレッション(ブラウザでの表示回数)も自然と増えていくでしょう。こうして獲得された被リンクは、紛い物ではない財産となります。

そのためには、不要なストレスを与えることのない流暢性のあるコンテンツを作り上げなければなりません。場合によっては、使いやすいサイトデザインや読みやすいテキストといった根本部分から総合的に見直すことも必要です。

また、そのように作り上げたコンテンツは、TwitterやFacebook、InstagramといったSNSのコミュニティにおいて、拡散力のあるキーパーソンの目に触れるようアプローチします。

より多くの人びとに知っていただくことで、そのコンテンツはさらなる魅力を放つようになるでしょう。

コンテンツ作成と拡散のこうした総合的な設計こそが、本書にもある「トータル・マーチャンダイジング(総合商品化)」とも捉えられます。これは、コンテンツの将来をも見据えた取り組みです。

デザインや機能性、可読性の向上に加えて、それらをエンドユーザーにどうやって提供するのかまで考えるのが、SEOの理念というわけです。

ヒットに通り一遍の設計図は存在しません。しかし、本書の解説で柴那典氏も述べているように、ないとわかっている設計図を、それでも求めてしまう人びとの欲求こそが、ヒットへのヒントなのです。

SEOとはインターネット時代のヒットのための、いわばバットでありミットだといえます。適切に使いこなすことで、ホームラン級のヒットも狙えるのではないでしょうか。

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